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日常のお手入れ
- 2025.10.20 | ブログ
🐾日常のお手入れで守る、わんちゃん・ねこちゃんの健康
わんちゃんやねこちゃんにとって、毎日のお手入れは「きれいにするため」だけではなく、「健康を守るため」にとても大切です。
ご自宅でできるケアも多いですが、ちょっとしたコツや注意点を知っているかどうかで、その効果は大きく変わります。
今回は、爪切り・耳掃除・目やに取り・肛門腺絞りの4つのお手入れについてご紹介します。
🐾① 爪切り ― 関節や怪我を防ぐために

犬の爪は、人の爪と違い「血管と一緒に伸びる」生き物です。
普段たくさん走る子は爪が自然に削れて血管も引っ込みますが、室内で過ごす時間が長い子は、定期的に切ってあげないといけません。
爪が伸びすぎると、地面に爪が当たって指の変形だけではなく、足首や膝、肘にまで負担がかかり、慢性的な関節トラブルの原因になることがあります。
また、爪が折れてしまうと強い痛みを伴い、出血して歩けなくなることもあります。
当院では、爪が根元から折れ、痛そうでかわいそうな仔が月1件はご来院します。
そのため、当院では、関節炎や怪我の予防のため、必要があれば、血管ごと短く切る場合もあります。
少し痛みを伴うこともありますが、「その仔の将来のため」と思って、恨まれてもやります。
もちろん、痛みの少ない方法で、専用の止血剤を使用して安全に行いますのでご安心ください。
🐾② 耳掃除 ― 奥まで続く耳道のケア

犬や猫の耳の中は、人と違って「垂直耳道」と「水平耳道」の2段構造になっています。
見える範囲だけを綿棒で触ると、耳道を傷つけたり、汚れを奥へ押し込んでしまうことがあります。
耳の中の状態は耳鏡(じきょう)で確認できます。
定期的にチェックを受けておくと、外耳炎や耳ダニ感染を早期に見つけることができます。
耳のトラブルを放置すると、バランス感覚をつかさどる「前庭(ぜんてい)」という器官に炎症が広がり、ふらつきや首の傾き(前庭疾患)、めまいから食欲不振・嘔吐を引き起こすこともあります。
耳掃除は“きれいにする”だけでなく、“重大な疾患から守る”ケアでもあるのです。
🐾③ 目やに取り ― 小さな炎症のサイン

目やにがこびりついたままだと、目頭の皮膚炎や角膜の傷の原因になります。
また、目頭の毛が眼球に触れていることで涙や目やにが増えることもあり、
その場合は定期的な毛抜きだけで改善することもあります。
当院ではシーズーなど目頭の毛が、目に入りやすい犬種では、定期的に目頭の毛を抜く処置を行っています。(内眼角の毛抜きと呼んでいます)痛みはほとんどなく、嫌がる仔がほとんどいませんので、チクチクする程度の痛みと思います。できる限り優しく、無理しません。
もちろん、眼の病気が原因であれば治療が必要です。
「いつもより目やにが多い」「色が違う」と感じたときは早めにご相談ください。
🐾④ 肛門腺絞り ― 気づきにくいお尻のサイン

犬や猫の肛門には、時計の4時と8時の位置に「肛門腺」という小さな袋があり、そこから強い臭いの液体がたまっています。
通常はうんちと一緒にその液は自然に排出されますが、詰まってしまうと破裂してしまうことがあります。
破裂の数週間〜数ヶ月前から不快感や痛みを感じていることが多いのですが、
飼い主さんが気づかないうちにお尻が腫れてしまうこともあります。
「お尻を床にこすりつける」「しっぽの付け根をよく気にする」などのサインがあれば、早めにチェックを。
定期的に肛門腺を絞ってあげることで、破裂を防ぐことができます。
「絞って出なければ、溜まっていない」と安易に考えず、『詰まっていて出ないのかも』と思うことが大切です。直腸検査でしっかり診てみましょう。さすがに皆嫌がりますが、僕の人差し指よりウンチの方が太いと思いますし、潤滑炎症止めを塗り行いますので、痛みはないはずです。丁寧に触診いたします。
破裂して、痛い思いをするよりずっと良いと思います。
🩺まとめ ― お手入れは「健康チェック」の時間
お手入れは、単なる“美容”ではなく、病気の早期発見にもつながる大切なケアです。
私たち動物病院では、お手入れを通して健康状態の変化を見つけることも多くあります。
「怖くて自分ではできない」「嫌がってしまう」と感じる場合も、
お気軽にスタッフにご相談ください。
その仔に合った方法で、優しく丁寧にサポートいたします。