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犬の骨折について

愛犬の骨折でご来院される多くは、飼い主様が骨折したとおっしゃって来院されます。しかし、その中で実際に骨折しているのは約半数程度です。また、長期間治らずに転院して来られ、X線撮影を行ってみたところ骨折が見つかることも稀にあります。

犬の骨折は日常的によく見られる怪我の一つで、特に小型犬は足の骨が非常に細く、ソファや抱っこから飛び降りるような動作でも骨折することがあります。

 

当院の整形外科についてはこちらのページをご覧ください

 

このページでは、犬の骨折について、その原因や症状をわかりやすくご紹介します。

 

 

■目次
1.犬の骨折の症状
2.応急処置方法
3.犬の骨折の種類
4.犬の骨折の原因
5.犬の骨折の診断方法
6.犬の骨折の治療方法
7.家庭でのケアと回復支援
8.まとめ

 

犬の骨折の症状

骨折の症状の一番の特徴は強い痛みです。また、痛みから以下のような様子が見られます。

 

骨折した瞬間にキャンと鳴く
患肢を挙上させて歩く
元気や食欲の低下
患部が腫れる

これらの症状が見られたら、多くの場合で骨折、もしくは骨にヒビが入っている可能性があります。

 

応急処置方法

応急処置としては、骨折部分を動かさないように割り箸や固い段ボールを添え木として患部にあて、包帯やハンカチで巻き固定します。ただし、固定を行う際は折れた骨が周囲の神経や血管を傷つけないように注意が必要です。

 

また、痛みにより犬が攻撃的になる危険もあるため、無理に応急処置をしようとせず、速やかに動物病院に連れて行きましょう。

 

犬の骨折の種類

骨折はどの骨が折れたのか、どのような折れ方なのかによりかなり治療が変わってきます。犬の骨折の種類としては、主に以下のようなものがあります。

 

横骨折:骨が軸に対して垂直に折れる
斜骨折:骨が軸に対して斜めに折れる
らせん骨折:骨が軸に対してらせん状に折れる
粉砕骨折:一つの骨が複数の骨片に割れる
若木骨折:骨の一部に亀裂が入る

 

犬の骨折の原因

一般的に犬の骨折で多いのは前足と後ろ足で、これは犬の骨の中でも特に細い骨だからです。

 

特に、若い小型犬(トイ・プードル、ポメラニアン、イタリアン・グレーハウンドなど)は活動的かつ骨が細いので、骨折しやすい傾向があります。それ以外の年齢・犬種でも、ホルモンの病気などによって骨が弱くなっていると骨折しやすくなります。

 

また、骨折の多くは自宅で発生し、ソファや階段など高いところからの落下や、留守番中に柵に足が挟まることが原因となります。

 

対策としては、高いところに登らせない、抱っこする時は座って抱える、階段前に柵を設置する、犬の足が挟まらない柵を選ぶことが有効です。もちろん予防できない不慮の事故による骨折もありますが、犬の骨折の多くは飼い主様の意識で予防できることを覚えておきましょう。

 

犬の骨折の診断方法

まずは身体検査や歩行検査で、痛みの有無や歩行の異常を確認します。
飼い主様の目の前で落下したり、明らかに骨折している場合は、すぐにレントゲン検査を行います。

 

当院では骨折の可能性がある場合、必ず鎮静剤を使用してから診察を行います。これは診察前は骨のひびだけだったのに、触診や保定中に暴れて骨折を悪化させる場合があるからです。

 

犬の骨折の治療方法

ひびや大きくずれていない骨折の場合は、スプリント固定(よくできた添え木)で患部を固定し、絶対安静を保つことで手術せずに治療できます。この方法で、痛みの80%を取り除くことができ、痛み止めを併用することで、元気を取り戻すことも可能です。その後、時間をかけて骨の再生を待ちます。

 

固定だけでは治らない骨折(らせん骨折や複雑骨折など)の場合は、ロッキングプレートや髄内ピンを用いて手術を行い、骨を整復します。術後は痛み止めを用いて疼痛管理を行い、術後1〜2週間後から少しずつ足の着地訓練(リハビリ)を行います。

 

リハビリは骨の修復を促すため、非常に重要で犬の年齢や生活環境にもよりますが、骨折した骨が完全に修復するまで2〜3カ月かかります。その間は走ったり強い衝撃を与えたりしないよう注意しましょう。

 

なお、当院は整形外科の専門医ではないため、すべての骨折が治せるわけではありませんが、初期の適切な治療を心がけております。当院で対応できないと判断した場合は、できるだけ近くの対応可能な病院を紹介いたします。
また、飼い主様は自分のかかりつけ医が骨折についてどのように考えているのか、事前に確認しておくことも重要です。

 

家庭でのケアと回復支援

手術後はケージや限られたスペースの中で生活していただきます

 

手術後に自由に行動させていると、手術部位が再度折れることがあるため、獣医師の許可が出るまでは活動制限と絶対安静を守りましょう

 

また、骨の再生には栄養が必須なため、適切なドッグフードを与えて栄養補給に努めましょう。手術後も処方された鎮痛薬や抗生剤はしっかりと服用してください。

 

まとめ

犬の骨折は特に小型犬に多く、自宅内で発生することが多いです。高いところに登らせない、抱っこから降ろす際は慎重に行うなど、日常の注意で予防できます。また、犬の骨折は早期発見と早期治療が鍵となります。もし、足を痛がるようであれば早めに動物病院を受診しましょう。

 

福岡市東区のみどりが丘動物病院
092-663-2225