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犬と猫の外耳炎について

毎年、5月後半から梅雨に入ると、耳が赤くなる、耳をよく掻く、耳が臭う、耳垢が溜まるといった外耳炎の症状で多くのワンちゃんと飼い主様が来院されます。

 

外耳炎とは鼓膜より外側の耳道に発生する炎症を指し、犬や猫にとって強い痒みや痛みを引き起こすため、早期発見と適切な対応が重要です。特に耳が垂れている子や耳毛が多く湿気がたまりやすい子は、外耳炎にかかりやすいとされています。この症状を見逃すと、中耳炎や内耳炎などに発展したり、平衡感覚をつかさどる前庭が侵され、前庭疾患という病気を発症することもあります。

 

そこでこのページでは、犬と猫の外耳炎について原因から予防方法までご紹介します。

 

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

外耳炎の原因は様々ですが、主に以下のような要因が考えられます。

 

アレルギー
犬や猫は、食物アレルギーアトピー性皮膚炎によって外耳炎を発症することがあります。アレルギー反応によって耳の皮膚が炎症を起こし、二次的に細菌や真菌の感染を引き起こすことがあります。

 

寄生虫感染
耳ダニやマダニなどの寄生虫が耳に寄生することで、外耳炎が発生することがあります。特に耳ダニは耳の中で繁殖し、耳垢や炎症を引き起こします。

 

湿気
犬や猫の耳は湿気がこもりやすい構造をしているため、細菌や真菌が繁殖しやすくなります。特に気温と湿度が上がる夏場やシャンプー後などには適切に毛を乾かさないと外耳炎のリスクが高まります。

 

異物
草の種や砂などの異物が耳の中に入ることで、炎症を起こし、外耳炎の原因になることがあります。

 

耳の構造
一部の犬種や猫種は、耳の構造が外耳炎を引き起こしやすい傾向にあります。犬ではアメリカン・コッカー・スパニエルやフレンチブルドッグやパグなどの短頭種、猫ではアメリカンカールが外耳炎を起こしやすい代表的な種類になります。

 

腫瘍
外耳に腫瘍ができることも外耳炎の原因となります。腫瘍が耳道を塞ぎ、通気が悪くなることで炎症が発生しやすくなります。

 

症状

外耳炎の主な症状は、以下の通りです。

 

耳を頻繁に掻く
黒っぽい耳垢の増加
耳の赤みと腫れ
頭をよく振る
耳からの悪臭や耳垂れ

 

外耳炎を放置すると、中耳炎や内耳炎に発展し、さまざまな神経症状が引き起こされることがあります。例えば、頭を斜めに傾ける(捻転斜頸)症状や、一方向に連続して回る(旋回)行動がみられることもあります。

 

診断方法

耳の赤みや腫れ、異常な耳垢など外耳炎を疑う症状で来院された場合、耳鏡カメラを使用して耳の内部を観察します。外耳道のみに炎症がみられる場合は、その時点で外耳炎と診断します。

 

しかし、外耳炎が食物アレルギーやアトピー性皮膚炎によって引き起こされることもあるため、耳だけでなく体全体にわたる痒みの有無や皮膚の状態についても詳しく確認します。

 

また、細菌や真菌、寄生虫の存在を確認するため、耳垢や耳の分泌物を採取し、顕微鏡で観察します。

 

治療方法

外耳炎の治療は、まず耳の洗浄から始まります。イヤークリーナーや温めた生理食塩水などを使って耳垢や分泌物を取り除きます。その後は点耳薬や飲み薬を使って治療を行います。

 

重度の外耳炎や慢性化した場合には、外科的な治療が必要になることもあります。手術により耳道を広げることで、通気性を改善し再発を防ぎます。

 

なお、外耳炎の治療では、見た目で症状が改善したように見えても、耳道の奥に炎症が残っていることがあります。そのため、獣医師の指示に従い、治療や通院を続けることが大切です。

 

◼️愛犬の外耳炎について、こちらの記事でも紹介しています
かゆみについて

 

予防法やご家庭での注意点

外耳炎を予防するためには、日常的に耳の様子を確認することが重要です。
まず、愛犬愛猫の耳を定期的にチェックし、赤みや腫れ、異臭、異常な耳垢がないかを日頃から確認するようにしましょう。

 

特にシャンプー後は耳周りをしっかりと乾かし、湿気がこもらないように注意してください。また、定期的に動物病院で健康診断を受け、耳の状態をチェックしてもらうことも大切です。

 

まとめ

外耳炎は、はじめの頃は症状も軽く様子を見てしまう飼い主様が多い病気です。しかし、進行すると治療に時間がかかるだけでなく、中耳炎や内耳炎などに発展する可能性も高まります。そのため、早期発見と早期治療が重要です。また、耳のかゆみは飼い主様の想像以上に犬にとってストレスになります。耳垢が普段より多いと感じるなど、気になる症状がある場合は、すぐに動物病院に相談すると良いでしょう。

 

福岡市東区のみどりが丘動物病院
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