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スケーリング(歯石除去)の頻度と方法について

愛犬愛猫の口臭が気になることはありませんか?もしかしたらそれは歯石が原因かもしれません。犬と猫も私たち人間と同じように、定期的な口腔ケアが必要です。特にスケーリング(歯石除去)は口腔衛生の向上に不可欠な処置です。

 

このページでは、スケーリングの頻度と方法、自宅でできる口腔ケア方法について詳しく解説します。

 

 

■目次
1.スケーリング(歯石除去)とは?
2.スケーリングの頻度
3.スケーリングの方法
4.無麻酔スケーリングのリスク
5.自宅でできる口腔ケア方法
6.まとめ

 

スケーリング(歯石除去)とは?

スケーリングとは、犬や猫の歯に付着した歯垢や歯石を専門的な器具を用いて除去することで歯石除去とも言います。歯垢とは食べ物の残りかす、唾液、バクテリアが混ざり合って歯に付着する軟らかい堆積物で、これが硬化することで歯石に変わります。
人間の場合、歯垢が歯石に変わるのは約25日と言われていますが、犬では3〜5日、猫では1週間と人間よりも5倍のスピードで、歯石に変わってしまいます

 

歯石を放置すると歯肉炎や歯周病を引き起こす原因となり、これらは歯の損失だけでなく、心臓病や腎不全といった他の健康問題をもたらす可能性があります。
実際に、歯の状態が悪く来院される犬や猫の中には、すでに腎不全に陥っているケースも少なくありません。そのため、一般的には定期的にスケーリングが推奨されています。

 

スケーリングの頻度

一般的に、8歳以上の犬や猫には年1〜2回のスケーリングが推奨されており、若い子には年1回とされています。しかし、当院ではその頻度が高すぎると考えております。そのため、麻酔を使用したスケーリングは、生涯で1回、最悪2回までとしています。頻繁なスケーリングは、歯肉の後退だけでなく、研磨により微細な傷が歯に付着し、余計に歯石が付きやすくなると考えております。

 

また、歯を過剰にスケーリングすることで、歯はピカピカになりますが、歯肉が後退し歯が不安定になり、スケーリングの頻度がますます増加する場合があります。このような状況について、当院ではセカンドオピニオンを受け付けておりますので、ご相談ください。

 

スケーリングの方法

スケーリングは通常、以下のステップで行われます。

 

1.麻酔の使用
スケーリングは痛みを伴う処置のため、愛犬愛猫がストレスや痛みを感じないように全身麻酔を行います。

 

2.超音波歯石除去装置による歯石の除去
超音波スケーラーを用いて歯石を効率的に取り除きます。このデバイスは高速で振動し、歯石を削り取ります。

 

3.手動工具による細部のクリーニング
超音波スケーラーだけでは除去しきれない歯垢や歯石を、専用の手動工具を使って除去します。

 

4.研磨
歯垢や歯石の除去後、歯の表面を滑らかにするために研磨します。これにより、再び歯垢が付着しにくくなります。

 

無麻酔スケーリングのリスク

無麻酔での歯垢や歯石の除去は、大変危険です。この方法は歯やその周りを傷つけることがあり、顎の骨折につながる場合もあります。さらに、歯の表面が凹凸になり、余計に歯垢や歯石が付きやすくなります
また、無麻酔では、歯の見える部分の歯石は取れるかもしれませんが、歯と歯の間や歯周ポケット内の歯垢や歯石は取れません

 

さらに、無麻酔での歯石除去は犬や猫が意識がある状態で、頭や口を押さえつけて行うため、痛みを伴い、ストレスや恐怖心を植え付けることになります。これが原因で、その後のホームケアを拒否されることもあります

 

しかしながら、麻酔には低いながらもリスクが存在します。
当院では、上述のような無麻酔でのスケーリングのリスクや、方法を伝えた上で検討しています。

 

麻酔と聞くと、不安に感じる飼い主様も多いと思います。何かご不安なことなどありましたらいつでも当院までご相談ください。

 

自宅でできる口腔ケア方法

定期的な口腔内のチェック
日頃から愛犬愛猫の口内を定期的に視認し、赤みや腫れ、異常な歯石の蓄積がないかをチェックしましょう。

 

歯ブラシを用いた歯磨き
専用のペット用歯ブラシを用い、優しく歯の表面をブラッシングします。歯石は数日でつくられるため、歯磨きは毎日行うことが理想ですが、難しければ最低でも2〜3日に1回は歯磨きをしましょう。

 

・デンタルケア用のおやつやフード
デンタルケアに特化したおやつやフードを与えることで、歯石の蓄積を自然に抑えることができます。

 

◼️愛犬愛猫の口腔問題について、こちらの記事でも紹介しています
口腔外科について

 

まとめ

愛犬や愛猫の口腔ケアは、健康を保つために非常に重要です。特に8歳以上の犬や猫では、定期的なスケーリングが推奨されますが、持病がある、または高齢の場合、麻酔下での処置に躊躇する飼い主様も少なくありません。スケーリングをご希望の場合、ピカピカにしますが、過剰に勧めることはありません。歯が多少汚れていても、元気で痛みがなく、食事ができることで長生きにつながればよいと思っています。

 

ご不安やお困りごとがある方がいましたらぜひ一度当院までご相談にいらしてください。

 

福岡市東区のみどりが丘動物病院
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