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犬と猫の避妊去勢手術について
- 2024.04.15 | ブログ
避妊や去勢の手術について考え始めた時、悩む飼い主様が多いのは自然なことです。当院では、特別な事情を除いて生後6ヵ月での手術をお勧めしております。生後6ヵ月を超えると性ホルモンの分泌が始まり、攻撃性の増加やマーキングなどの問題が生じるためです。早期の手術により、これらの問題を予防し、愛犬愛猫の健康を守ることができます。
このページでは、犬と猫の避妊去勢手術の重要性についてご紹介します。
■目次
1.去勢手術とは(オス)
2.避妊手術とは(メス)
3.避妊去勢手術のメリット
4.避妊去勢手術の注意点
5.まとめ
去勢手術とは(オス)
去勢手術は、オスの精巣を外科的に除去することです。
去勢手術が遅れると、壁に尿をかける、発情が完全に抑えられない、凶暴性が抑制されないなどの症状がみられます。
当院での去勢手術は、溶けて体内に残らない縫合糸を使用し、埋没縫合(外から見えない特殊な縫合法)により傷口を塞ぎます。この手法を用いることで、縫合糸が皮膚の外側に出ないため、抜糸やエリザベスカラーの着用、外用薬を必要とせず、愛犬や愛猫のストレスを最小限に抑えることが可能です。
また、全身麻酔をかけて行うため、術前に血液検査を実施し、各臓器が麻酔・手術に耐えられる状態か判断します。なお、去勢手術の場合は日帰りで対応しています。
避妊手術とは(メス)
避妊手術は、メスの卵巣・子宮を外科的に除去することです。
避妊手術を行うことで、望まない妊娠を防げるだけでなく、発情期に伴う行動(鳴き声や逃走など)の防止、性ホルモンが原因で起こる病気の予防も可能です。
生後6ヵ月を過ぎると初回の発情が始まることが多いため、この時期に避妊手術を行うと乳腺がんの発生率を大幅に減少させることができます。
具体的には、発情前に避妊手術を行った場合、乳腺がんの発生率は0%となります。
発情を1回経験した後の手術では、発生率は1.4%に上がり、2回経験後は2.8%まで上昇します。さらに、3回発情を経験してから避妊手術を行った場合、乳腺がんの発生率は避妊していない犬猫と変わらないとのデータがあります。
当院では避妊手術において、超音波メス(ソノサージ)を使用し、体内に残る異物(縫合糸)を減らすことで異物反応のリスクを排除します。これにより、確実な止血効果と手術時間の短縮を実現し、身体への負担を最小限に抑えます。また、去勢手術と同じように、表皮には埋没縫合により傷口を塞ぎます。
去勢手術と同様、避妊手術でも全身麻酔をかけて行うため、術前に血液検査を実施し、各臓器が麻酔・手術に耐えられる状態か判断します。なお、避妊手術の場合は一泊入院していただいております。
避妊去勢手術のメリット
避妊去勢手術の最大のメリットは、望まない繁殖を防げることです。
また、発情や性ホルモンの分泌がなくなるため、下記の病気を予防できます。
〈メスの場合〉
・子宮蓄膿症
・乳腺腫瘍
・卵巣ガン など
〈オスの場合〉
・前立腺肥大
・肛門周囲腺腫
・睾丸腫瘍
・会陰ヘルニア など
避妊去勢手術の注意点
手術を受けるにあたっていくつかの注意点があります。
・術前
手術の前日21時以降は食事を与えないようにしてください。これは麻酔をかける際の吐き気や誤嚥のリスクを減らすためです。水分に関しては、手術当日の9時まで可能です。
・術中
術前に血液検査を行いますが、手術には全身麻酔が必要になるため、麻酔や手術による体への負担があることを理解しておきましょう。
・術後
ホルモンの分泌停止により、生殖器官で消費されていたエネルギーが消費されなくなるため、肥満になりやすくなります。
そのため、術後は食事の量を減らしたり低カロリーフードに変えたり運動量を増やしたりして、体重管理を行う必要があります。
◼️愛犬愛猫の避妊去勢手術の流れなど、こちらの記事でも紹介しています
犬の避妊手術
犬の去勢手術
猫の避妊手術
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まとめ
愛犬や愛猫に避妊去勢手術を施すべきかどうかで不安を感じている飼い主様もいらっしゃると思います。しかし、この手術は望まない繁殖を防ぐだけでなく、様々な病気の予防や発情期における問題行動の解決にも役立ちます。当院では、避妊去勢手術の実施時期として生後6ヵ月を推奨しています。この時期に手術が行えなかった場合は、問題(前立腺肥大、睾丸の腫瘍、会陰ヘルニア、乳腺がん、卵巣がん、子宮蓄膿症など)が発生するまで手術を行わないかの2択と考えております。
手術を受けるタイミングやデメリットなど心配な点があれば、ぜひ当院へご相談ください。
福岡市東区のみどりが丘動物病院
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