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ノミ・マダニ予防は、動物だけでなく「人を守る予防」でもあります

先日、獣医師会を通じて、福岡市より
「ダニが媒介する人獣共通感染症への注意喚起」
のお知らせが届きました。

福岡市内でも、今年、重症熱性血小板減少症候群、いわゆる SFTS の発生が確認されています。SFTSは、主にウイルスを持ったマダニに咬まれることで感染する病気で、人では発熱、消化器症状、血小板や白血球の減少などを起こし、重症化することもある病気です。厚生労働省も、マダニに咬まれない対策や、ペットへのダニ駆除剤の使用について注意喚起しています。

また、SFTSだけでなく、マダニが関係する病気には、
日本紅斑熱つつが虫病 などもあります。
これらは、犬や猫だけの問題ではなく、私たち人間にも関係する感染症です。

動物病院では、動物に密着して診察をしています。

動物病院では、診察や処置の際に、獣医師や動物看護師が犬や猫の体を支え、抱きかかえ、時には顔を近づけて保定を行います。

動物たちは、病院が苦手だったり、痛みや不安があったりすると、じっとしていられないこともあります。
そのような中で、動物看護師は安全に診察ができるよう、毎日、動物たちに密着して支えてくれています。

もし、その子の体に生きたノミやマダニが付いていた場合、動物だけでなく、飼い主さん、病院スタッフ、そして他の患者さんにも影響する可能性があります。

院長として、私は当院で働くスタッフを守る責任があります。
同時に、来院される飼い主さんと動物たちを守る責任もあります。

 

そのため、当院では改めて、
来院される犬・猫のノミ・マダニ予防を強くおすすめいたします。

予防していても、マダニに咬まれることはあります。

ここで大切なことがあります。

ノミ・マダニ予防薬を使っていても、
マダニが一瞬も付かない、絶対に咬まれない
というわけではありません。

お散歩中、草むら、庭、公園、山、畑、河川敷などで、マダニが犬や猫の体に付くことはあります。
予防薬は「虫よけ」のように完全に近づけない薬ではなく、体に付いたノミやマダニを駆除することで効果を発揮するものが中心です。

つまり、予防していても、動物自身がマダニに咬まれる可能性はゼロにはできません。
そのため、動物の感染を完全に防げるとは言い切れません。

しかし、予防薬を使っている子に付いたノミやマダニは、その後、薬の効果で死んでいきます。
これにより、家の中や車の中、ベッド、ソファー、そして動物病院内に、生きたノミやマダニを持ち込むリスクを減らすことができます。

これはとても大きな意味があります。

 

ノミ・マダニ予防は、かゆみ対策だけではありません。

ノミ・マダニ予防というと、
「かゆくならないため」
「皮膚病を防ぐため」
と思われる方も多いと思います。

もちろん、それも大切です。

ノミに刺されると、強いかゆみ、皮膚炎、脱毛を起こすことがあります。
ノミアレルギー性皮膚炎の子では、少し刺されただけでも強い症状が出ることがあります。

しかし、今の時代、ノミ・マダニ予防はそれだけではありません。

ノミ・マダニ予防は、動物を守るだけでなく、人を守るための予防でもあります。

一緒に暮らすご家族を守るため。
小さなお子さんや高齢のご家族を守るため。
そして、動物病院でその子を抱っこし、保定し、治療するスタッフを守るため。

ノミ・マダニ予防は、動物と人が安心して暮らすための、大切なマナーであり、医療上の予防です。

特に注意していただきたい子

次のような子は、特にノミ・マダニ予防をおすすめします。

お散歩に行く犬。
庭に出る犬や猫。
草むら、公園、山、畑、河川敷に行くことがある子。
外に出る猫。
完全室内飼育でも、同居犬が外に出るご家庭の猫。
過去にノミやマダニが付いたことがある子。

また、最近は暖かい時期が長くなり、ノミやマダニの活動期間も長くなっています。
「夏だけ」ではなく、春から秋、地域や生活環境によっては通年での予防が必要な場合もあります。

体調が悪い犬・猫を触る時にも注意が必要です

SFTSなどの感染症では、マダニそのものだけでなく、発症している動物との濃厚な接触が問題になることもあります。厚生労働省も、体調不良のペットに接する際には、咬まれたり舐められたりしないよう注意し、必要に応じて手袋やマスクを使用すること、早めに動物病院を受診することを案内しています。

特に、
元気がない。
発熱している。
食欲がない。
嘔吐や下痢がある。
黄疸がある。
出血しやすい。
外に出る猫が急にぐったりしている。

このような場合は、自己判断で様子を見すぎず、早めにご相談ください。

当院からのお願い

来院される犬・猫には、できるだけ定期的なノミ・マダニ予防をお願いいたします。

動物たちをかゆみや皮膚病から守るため。
飼い主さんとご家族を守るため。
診察や治療に関わる動物看護師、獣医師を守るため。
そして、病院に来院される他の動物たちを守るためです。

ノミ・マダニ予防は、
「うちの子のため」だけでなく、
「みんなを守るため」の予防です。

どの予防薬が合うかは、年齢、体重、犬か猫か、持病の有無、生活環境によって異なります。
特に猫では、犬用の薬を使うと危険な場合がありますので、自己判断での使用は避けてください。

ご希望の方は、診察時または受付でお気軽にご相談ください。
大切な家族である犬・猫と、飼い主さん、そして病院スタッフが安心して過ごせるよう、皆さまのご協力をお願いいたします。