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犬はよくこんな物を飲みます ~異物誤飲は早い判断がとても大切です~
- 2026.09.12 | ブログ
犬はよくこんな物を飲みます。
おもちゃの破片、靴下、タオル、ペットシーツ、ビニール、スポンジ、竹串、焼き鳥の串、梅干しの種、果物の種、
石、ボール、紐、糸、ヘアゴム、マスク、ティッシュ、薬、チョコレート、保冷剤、乾燥剤……。
「まさかこんな物を飲むとは思わなかった」
「少し目を離しただけだった」
「取り上げようとした瞬間に飲み込んでしまった」
異物誤飲で来院される飼い主さんの多くが、同じようにお話しされます。
一緒に生活している以上、誤飲を100%防ぐことはとても難しいです。
ですので、異物を飲んでしまったこと自体を、必要以上に飼い主さんが責める必要はありません。
ただし、飲んでしまった後にどう行動するかは、とても大切です。
正しいタイミングで、正しい対応ができるかどうかで、その子の負担や治療内容が大きく変わります。
取り上げようとした時に、飲み込んでしまうことがあります。
異物誤飲でよくあるのが、犬が何かをくわえているのを見つけて、飼い主さんが慌てて取り上げようとした時です。
「だめ!」
「ちょうだい!」
と近づいた瞬間に、犬が取られまいとしてゴクンと飲み込んでしまうことがあります。
もちろん、危ない物をくわえていたら取り上げる必要があります。
しかし、よく異物を飲み込む子の場合は、無理に口から奪おうとすると、逆に飲み込ませてしまうことがあります。
そのような子では、日頃から
その子がとても好きなおやつ
をすぐ使える場所に置いておくとよいです。
異物をくわえた時に、無理に奪うのではなく、
「おやつと交換する」
という形で気を引けることがあります。
もちろん、毎回うまくいくとは限りません。
ただ、異物誤飲を繰り返す子では、こうした準備が役に立つことがあります。
飲んだ直後なら、吐かせられることがあります。
異物を飲んでしまった時に一番大切なのは、
できるだけ早く動物病院に相談することです。
飲んだ直後で、胃の中に異物が残っていて、吐かせても危険が少ない物であれば、 吐かせる処置で取り出せることがあります。
以前は、吐かせる処置というと体への負担が大きいイメージを持たれる方もいたかもしれません。
現在は、犬では状況に応じて、目に入れるタイプの薬などを使って吐かせる方法もあり、 以前よりも比較的負担を抑えて処置できる場合があります。
ただし、何でも吐かせられるわけではありません。
例えば、竹串、針、鋭いプラスチック片、尖った骨、割れた硬い物など、
吐かせることで食道や胃を傷つける可能性がある物は、吐かせる処置が危険になることがあります。
また、薬品、電池、洗剤なども、内容によって対応が変わります。
「飲んだら吐かせればいい」
という単純な話ではありません。
何を、いつ、どれくらい飲んだかによって判断が変わります。
だからこそ、飲んだ可能性がある時点で、すぐに病院へ相談してください。
時間が経っている時は、無理に吐かせない方がよいことがあります。
異物を飲んでから時間が経っている場合、異物が胃から腸へ進んでいることが多いです。
このような時に無理に吐かせようとすると、胃の中の物が動き、かえって異物を腸へ送り込んでしまいます。
腸に入ってしまった異物は、自然に出ることもありますが、途中で詰まることもあります。
詰まってしまうと、嘔吐、食欲不振、腹痛、ぐったりするなどの症状が出て、開腹手術が必要になることもあります。
胃の中に残っている異物でも、吐かせるには危険がある場合や、時間が経っている場合には、
内視鏡で摘出する
という選択になることがあります。
内視鏡で取り出せる場合、開腹手術を避けられることが多いです。
しかし、異物の種類、大きさ、場所、経過時間によっては、内視鏡では難しい場合もあります。
異物を飲んだ後は、ご飯を与えずに来院してください。
異物を飲んだかもしれない時、飼い主さんの中には、
「何か食べさせたら一緒に流れるかも」
「便で出やすくなるかも」
と思われる方もいます。
しかし、これはおすすめできません。
内視鏡を行う場合、胃の中にご飯がたくさん残っていると、異物を探すのがとても難しくなります。
フードに紛れてしまい、処置に時間がかかることがあります。
処置時間が長くなれば、その分、麻酔時間も長くなります。
つまり、その子の負担が増えてしまう可能性があります。
異物を飲んだ後は、自己判断でご飯を与えず、まず病院にご相談ください。
同じ物、残りの破片があれば持ってきてください。
異物誤飲で来院される場合、可能であれば、
飲んだ物と同じ物
または
残っている破片
を持ってきてください。
これは、とても重要です。
何を探せばよいかが分かっていると、レントゲン検査や内視鏡の判断がしやすくなります。
内視鏡で探す時も、形や大きさが分かっていると、処置が短時間で済む場合があります。
処置が短時間で済めば、その子の負担を軽くしてあげることができます。
実際に、以前、おもちゃを砕いて飲んだと思われて来院された子がいました。
残っていた破片を組み合わせて確認したところ、欠けている部分がなく、
結果的に「何も飲んでいなかった」と判断できたことがあります。
残っている破片を見て、
「この大きさなら自然に出る可能性がある」
「この形なら内視鏡を考えた方がよい」
と判断できることもあります。
飲んだかもしれない物が残っていれば、ぜひ一緒にお持ちください。
噛んで遊んでいた物が見当たらなくなったからといって、必ず飲んだとは限りません。
ソファーの隙間、ベッドの下、ケージの奥、家具の裏などに落ちていることもあります。
ただし、ここが難しいところです。
金属や石のようにレントゲンに写りやすい物もありますが、布、スポンジ、ビニール、 プラスチック、紐などは、レントゲンで分かりにくいことがあります。
その場合、
本当に飲んだ可能性が高いのか。
どんな物を噛んでいたのか。
どれくらいの大きさだったのか。
いつから見当たらないのか。
症状があるのか。
こうした問診がとても重要になります。
実際に、内視鏡で確認した後に、後日ソファーの間から異物が出てきた、というようなこともあります。
それでも、飲んだ可能性が高い場合には、様子を見てよいのか、 検査や処置が必要なのかを慎重に判断する必要があります。
紐、糸、棒状のものは意外と危険です。
異物には、見た目以上に危険な物があります。
特に注意が必要なのが、
紐、糸、棒状のもの
です。
紐や糸は細いので、
「これくらいなら大丈夫そう」 と思われるかもしれません。
しかし、紐状の異物は腸の中で引っかかったり、腸をたぐり寄せるような状態になったりすることがあります。
特に猫では、糸や紐による異物は注意が必要です。
また、棒状の物も意外と危険です。
細長い棒は、腸の中をまっすぐ通ってくれればよいのですが、片側が腸の壁に当たると、 そこで立ち上がるような形になり、引っかかったり、突き刺さるような状態になることがあります。
目安として、紐や糸は10cm程度でも注意が必要です。
棒状の物は、太さや硬さ、長さによっては、かなり小さくても危険になることがあります。
参考までに、10kg前後の柴犬でも、腸の狭い部分は約1cm程度と考えると分かりやすいと思います。
小型犬では、さらに狭いです。
「このくらいなら大丈夫」と見た目だけで判断するのは危険です。
助けてあげられるのは飼い主さんだけです。
異物誤飲は、どれだけ気をつけていても起こることがあります。
犬や猫と一緒に暮らしている以上、100%防ぐことは難しいです。
ですので、異物を飲んでしまった時に、飼い主さんがご自身を責めすぎる必要はありません。
ただし、飲んだ後の対応はとても大切です。
すぐ相談する。
ご飯を与えない。
飲んだ物や残りの破片を持ってくる。
いつ、何を、どれくらい飲んだかを伝える。
無理に自宅で吐かせようとしない。
こうした行動が、その子を助けることにつながります。
そして、その最初の判断をしてあげられるのは、そばにいる飼い主さんだけです。
異変に気づいてあげられるのも、病院に連れてきてあげられるのも、飼い主さんだけです。
私は、異物を飲んでしまった子を助けるために、できる限りのことをします。
吐かせる処置で済むこともあります。
内視鏡で取り出せることもあります。
必要であれば手術が必要になることもあります。
その時その時で、その子にとって一番負担が少なく、安全性の高い方法を考えます。
でも、本音を言えば、やはり飲まないでほしいです。
異物を飲んでしまった子は苦しい思いをします。
飼い主さんも、とても心配されます。
麻酔や処置、手術が必要になれば、体への負担も避けられません。
だからこそ、普段から飲み込みやすい物を片付けること。
よく誤飲する子では、おやつと交換する練習をしておくこと。
そして、飲んだかもしれない時には早めに相談すること。
これがとても大切です。
異物を飲んだかもしれない時は、早めにご相談ください。
異物誤飲は、時間との勝負になることがあります。
飲んだ直後なら、比較的負担の少ない処置で済むことがあります。
時間が経つと、内視鏡や手術が必要になる可能性が高くなることがあります。
「本当に飲んだか分からない」
「今は元気だから様子を見ていいのかな」
「これは危ない物なのかな」
そう迷った時点で、一度ご相談ください。
異物誤飲は、早く分かれば助けられる可能性が広がります。
大切な犬・猫を守るために、気になる時は早めの受診をおすすめします。


